いぼ・目周りのぶつぶつの治療
いぼ・目周りのぶつぶつの治療
皆さんがよくおしゃる「いぼ」とはなんでしょうか?「いぼ」は俗語ですが、大きく分けると二つ。
ウイルス感染症による「うつるいぼ」と「老化に伴う(うつらない)いぼ」に分けられます。
実はウイルスのタイプによってもさまざまに分類があります。ですが治療を考える上では、「うつるいぼ」と「老化に伴ういぼ」この二つを分けて考えれば概ね問題ありません。
ただ、いぼを主訴に受診される方の中には、脂腺増殖症、汗管腫や日光角化症(早期がん)なども含まれており、まずは視診およびダーモスコピー、時に皮膚の組織検査を行い診断をしっかりつけて治療を行います。
いぼの種類 日本皮膚科学会ガイドラインより抜粋
手足に特に多いですが全身どこでもできます。ウイルス特異的な塗り薬がありませんので、最も推奨度が高いのが、液体窒素による処置となります。以下いろいろな治療法を記載しますが、まずは液体窒素です。他の治療におきましては、液体窒素と併用して外用する、液体窒素が効かないから次の手として焼灼・手術をするなどという位置付けになります。
液体窒素による冷凍凝固法
液体窒素を受けている様子
-196℃と極めて低温の液体窒素を用いて、いぼを凍結しウイルス感染した細胞を壊死させる方法です。最も一般的に行われている治療ですが、凍結時の疼痛が強いことや、なかなか治らず長期間の通院が必要なこともあります。通院頻度1−2週間。入浴シャワーに制限なし。基本的にはガーゼも不要でそのまま帰宅可。
ヨクイニンエキス内服
ハトムギが原料の生薬で、免疫力を上げるとされています。特効薬ではありませんが、いくつか有効性を示す論文が出ています。大人は1日18錠(写真:下の手の量)、子供はそれより数が少なくなります。(写真:およそ上の手の量)。甘くもないけど苦くもないラムネのようなカリカリ食べれる薬です。
トリクロロ酢酸外用
トリクロロ酢酸を爪楊枝で塗っている様子
強酸でいぼを腐食させる作用があります。痛みの弱いお子様や液体窒素で難治な方に行っています。
夏場、子供に多いいぼ。体のどの場所にも、白いぽつっとした盛り上がりができます。プールでの接触、ビート板やタオルを介した感染、兄弟姉妹やご家族を介してうつってしまうことが多いです。
アトピーや湿疹、乾燥肌があると皮膚の乾燥によりバリア機能が低下していますので、感染しやすかったり、引っ掻いた部分に水イボが広がりやすくなります。
ウイルス特異的な塗り薬はありません。ほとんどのお子様が半年から2年以内に水いぼのウイルスに対する免疫がついて自然治癒するため、当院では基本的に摘除はせず、外用薬にて治療する方針としております。
水いぼ専用クリーム
M-BFクリームという銀を配合した水いぼ専用クリームを院内にて販売しております。水いぼは通常半年から2年という長い時間をかけて自然に改善しますが、m-BFクリームをご使用いただくことで、半数の方が2ヶ月以内に、8割の方が2〜3ヶ月で改善します。ぜひご活用ください。
外用開始前
クリーム開始3週
クリーム開始後6週
摘除することなく、水いぼクリームのみで完全治癒に至った症例。全例同じ経過を辿るわけではありませんが、塗布後に反応して赤みを生じたのちにゆっくりとかさぶたになり枯れていきます。
たっぷりと塗ってくださる方はよく効くような印象もあります。
早ければ20歳代から出始め、80歳以上の高齢者ではほぼ全員に認められます。老化に伴って出てくるもので、顔や頭に多く出ますが、体にも出てきます。色調は、常色のものから茶色、黒色まで様々で、大きさも大小様々です。良性の腫瘍に分類されますが、数ヶ月のうちに急激に多発してきて、痒みを伴う場合には、レーザートレラ徴候といい、内臓悪性腫瘍のサインと言われていますので注意が必要です。
サージトロンによる焼灼
麻酔クリームや局所麻酔注射をしてから、高周波メスであるサージトロンを用いて一つ一つ焼灼していきます。麻酔をすれば、ほぼ痛みは心配不要です。処置後は、数日間テープを貼ったり、軟膏を塗って傷が閉じるのを待ちます。1度の治療ですっきりと綺麗になりおすすめの治療です。
治療前
サージトロンによるいぼ治療後
切離法
いぼの根っこを外科用のハサミで切ります。
治療前
サージトロンによる焼灼後
ガイドラインにいぼとして表記はありませんが、実はそのほかにも、「いぼ」を治したいと受診くださる方の中にはこれら以外の疾患が紛れていることがあるので紹介しておきます。
額や頬、鼻に多くみられる白から黄色味を帯びたできものです。1mmから10mm程度にまで大きくなることもあります。皮脂腺が肌に増えてでた良性のできものですので、脂性肌の方に多くみられます。中年以上の男性に多いですが、男女問わず20代の方にもできます。
目の周りに多いですが、顔の他の部位や、顔以外では首、デコルテ、腹部、陰部、背中、脇など全身に発症します。米粒くらいのプツプツで、連なって面状になることもある、肌色~淡い褐色調のできものです。女性に多く、かゆみや痛みなどの自覚症状はなく、年中消えることはないうため、悩みの深い方も少なくありません。原因もないため予防がありません。
汗管腫とよくに見た目で、顔中に多発する米粒くらいのポツポツの大きさで、透明〜肌色のできものです。組織学的には汗を出す管(エクリン汗腺)が袋状になった良性腫瘍です。特徴的なことは、汗をかいたとき(暑いとき、入浴後、夏場)に悪化し急に増えて、汗をかかないとき(寒いとき、冬、冷やすと)に目立たなくなります。
ありません
目周りを中心に、額や鼻などにできる1ミリ程度の白いポツッとした盛り上がりのあるできものです。産毛の毛穴の皮膚からできたもので、乳児にできたものは自然消退することもありますが、成人の場合は自然に消えることは少ないです。脾粒腫は、水疱症、熱傷瘢痕、放射線皮膚炎後などにひき続いて出現することもありますが、それに関係なく体質でできやすい方は多くいます。