汗の悩み
汗の悩み
多汗症とは、頭皮・手足・わきの汗が通常の人より多く、そのために生活に支障をきたしている状態です。「頭皮の汗が多くポタポタ垂れてくる」「紙に文字を書いていると、紙が湿ってよれよれになってしまう」「足から汗がいっぱい出て、嫌な臭いがする」「わきの汗が多く、衣類にしみて好きな色の洋服が着れない」などなど、こうした症状でお困りの患者さんが少してでも快適に生活できるように、重症度や困り具合に応じて段階的な治療を提供いたします。
抗コリン薬作用という、薬の作用機序を簡単にいうと神経に作用して、汗出すよー!という指令をブロックする(アセチルコリンという物質が放出されるのを抑制する)ことで、発汗を抑えます。
形状及び、使用部位によって三種類あります。
塗り薬のメリットは、圧倒的な手軽さ、安さでしょう。いづれも使用方法はとても簡単です。そのためわき汗、手汗のファーストチョイスはまずこちら。
デメリットは、毎日の管理が必要なので完全に忘れることはない、めんどくさい、見られたら嫌だ、このあたりでしょうか。
ただいわゆる市販の制汗剤よりは優れていると思います。
直接ボトルの先端を脇にぬりぬりするタイプ。
塗るではなく、拭くタイプ。一枚ずつの個包装なので、持ち運びもしやすくとても便利です。9歳以上の適応。
寝る前に手で塗って、顔や他の部位は触らず、手を洗うだけ。
塩化アルミニウム溶液は、汗を出す管(汗管)の細胞に作用し、この管を閉塞させるといわれています。 つまり、汗腺で作られた汗が汗管を通って皮ふに出るまでの通り道を塞ぐことにより、汗管の細胞に作用し発汗を減少させます。 ただし、この効果は一過性であるため、効果を持続させるには継続的な治療が必要になります。
プロバンサインという神経系に作用する薬。即効性が特長で、服用後1時間ほどで効果が現れ、約5時間効果が継続します。また内服薬ですので全身に効果が出て、一度の服用で全身の汗を抑えることが可能です。服用に際して、閉塞性緑内障や前立腺肥大といった疾患をお持ちの方には服用いただけない場合があります。副作用として、目や口の渇きがあります。
ボトックスとは、ボツリヌス毒素(ボツリヌス菌が産生する毒素)から抽出した成分を用いる治療です。ボツリヌス毒素はその名の通り、毒性の高いものなのですが、ボトックスはそこから毒性を除去しているので、安全に使用できます。汗を減らしたい部位の皮膚に細かくボトックスを注射して、発汗を抑えます。わき、手足、頭皮などに用いられます。
施術時間:わき5-10分 頭皮・手足15分程度。注射後2−3日から効き始め、1週間程度でピタッと汗が止まります。短時間ながら注入痛がありますので、希望される方には、麻酔クリームや笑気麻酔を併用いただきます。効果の持続は4-6ヶ月、ワンシーズン程度。リスクは内出血と稀に代償性発汗(他の部位の汗が増える)。
毎日の塗ったりする作業から解放され、非常に手軽で、効果的で、費用もそこそこで一押しの治療です。
保険診療によるワキガ治療の中でも最も効果的に匂いを改善させ、また汗の量も減らすことができる方法です。
手術で脇の下の皮膚を数センチ切って、皮膚をしっかりとめくり返して、中にある匂いの元となっているアポクリン汗腺を皮下組織ごと、直接取ってしまう方法です。
日帰り手術ですが、2週間は重いものを持てない、腕の動作が制限される、運動を控える等の制限があり、安静を保たないと皮下血腫、血流不全による傷の治癒遅延などのリスクがありますので、片方ずつの手術をお勧めいたします。
デメリットとして、切開線及びアポクリン腺除去部位に傷が残ります。程度は個人差があります。
そのほか、当院では施行しておりませんが下記の治療などもございます。
手足の汗に対して、水道水の入った容器に20-30分手足を浸し、直流電極を流す方法で、初めは10回ほど密に行い、ある程度落ち着いたら週に1-2回に減らすという通院が必要な治療です。面倒・退屈以外には苦痛はほぼなく、効果はあり、保険適応で安価なので続けやすく気にいる方が多い印象です。