じんましん(蕁麻疹)の原因・種類・治療について、と休日の過ごし方。
高槻市のあゆ皮フ科クリニックの菊澤亜夕子です。菊澤先生とか院長とかではなく、あゆこ先生と親しみを持って呼ばれたいと思ってます←。街の小さなクリニックですので、気が向くままに院長自らブログを書いております。私自身、専門外のことに関しては、難しい言葉が並ぶ文章を読むとすぐ気が失せるたちですので、できるだけ平易な言葉を用いて、細かいことはさておいて、わかりやすい文章を書こうと心がけております。
↑私、白衣を脱ぐとこんな感じです。自ら子育て中ですのでお子様の診療もお任せください!なんてH Pにちょっと誇らしげに書いているのに、先日遊びにきた姪っ子には終始好かれず、膝に乗せると姪っ子ちゃんテンションダダ下がりで、こんな表情するんですよ笑。子供の診療にちょっと自信を失っているこの頃です・・
今日は皮膚科診療においても頻度の高い蕁麻疹のお話。
じんましんの診断は?
診断の難しい皮膚疾患も多い中、じんましんの診断は非常に簡単!一言でゆうと「24時間以内に消失する皮疹」これはキーワードです。逆に24時間以上続くものはじんましんではありません。(蕁麻疹様血管炎はどうなの?とか専門的な話は割愛。)
地図状の虫刺されのような、皮膚が少し盛り上がって赤みのある皮疹。そんな風に書かれたりもしてますが、じんましん以外にもそんな皮疹はありますので、決め手にかけると思います。数時間で消えては、また移動しながら違う場所に出る、痒みの強い皮疹、これこそじんましんです。
↑これですね、典型的なじんましん、引っ掻きあとに沿った線状の膨疹が特徴的です。なんだか皮膚科医的には美しいレベルのじんましん。
↑ちっちゃい子の可愛いタイプのじんましん(実際にはじんましんに可愛いとかはない・・)。娘にじんましんが出た時に、シャッターチャンス!とばかりに嬉しそうに母親(私)が撮影するので、娘もとってもご機嫌です。本当は痒がってます・・
原因のないじんましんってあるの?
はいあります。むしろじんましんは、原因のはっきりしないことがほとんどなのです。少なく見積もっても8割上は、特定の原因はありません。まれに原因が見つかることがある、という感じでしょうか。
私見による、じんましんの分類
これはどう分類するかにもよります。急性と慢性であったり、教科書的に寒冷じんましん、コリン性じんましんなど頻度の低いものまで入れたりする分類もあるでしょうし・・。ここでは誰かに責められるかもしれませんが、私の勝手分類を記載しておきます←
①もっとも頻度の高い特発性じんましん
特に原因はわからず、ただじんましん出てるやつ。なんでもないのに、しょっちゅう出てはひいては繰り返す。6週以上続けば慢性じんましん、いわゆる体質ですね。割と多いです。
②体調不良に伴って出てくるじんましん
発熱だとか、風邪ひいただとか、なんらか調子が悪い時に、出てくるじんましん。急性で1-2週間程度でひいてしまいます。
③食物、薬剤など特定の原因に対して突発的に生じるじんましん
エビ食べてすぐ出た!抗生剤飲んですぐでた!納豆食べて数時間で出た!小麦食べて運動してでた!など一番原因がはっきりして納得しやすいやつですね。ただこれは実は珍しいのです。怪しいエピソードがある場合は、特定のための検査をします。血液検査、さらに精度の高い皮膚テスト、さらには再現性があるか少量摂取してみるというテストです。
お風呂やお酒が原因?
お風呂に入ったり、お酒を飲むと出るんです。というエピソードも多く聞きますが、原因というよりは悪化因子というのがより正確でしょうか。体が温まり、血流が良くなるとじんましんも湿疹も痒みが増すものです。じんましんがよく出やすい時は、シャワーは短時間にしたり、ちょっとお酒控えめにしたりするのがベターかもです。
じんましんの治療は?
まずは飲み薬です。飲むんです、塗るんとちゃいます。飲むんです。飲む。飲む。飲む。皮膚病といえば、塗りのイメージですが、じんましんは内側から抑えるイメージですね。ヒスタミンをブロックしてとかそういう話は省略しますが、とりあえず塗るより飲むんです。
突発的な症状に対しては、症状が出てからすぐに飲み薬で大丈夫ですが、慢性じんましんの場合は特に取り除くべき原因もないわけですので、症状が出る前から定期的に飲んでおいて出ないようにするというのがスタンダードです。
私もじんましん持ちですので、実際痒みが出たらなんか塗りたくなる気持ちはよくわかるので一緒に塗る薬を出すこともありますが、飲み優先でお願いします。なお引っ掻いた後のガサガサやかきあとが残っている時には外用剤も有効です。
もちろん特定の原因がある場合は、それらに触れない、それらを飲まない、小麦食べたら運動しないなど、原因を除去することが大切です。
第一選択薬の飲み薬
花粉症の時に処方される抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤と言われる内服薬ですね。いろいろな製薬会社がいろいろな製剤を出してます。1日1回のもの、1日2回のもの、空腹時に飲むもの、内服後早くききやすいもの、眠気が出やすいもの、色々あります。そこは主治医と相談しながら、細かく調整ですね。
それ以外の飲み薬
抗アレルギー剤だけでは、じんましんのコントロールが難しいケースでは、補助的な飲み薬として、胃薬、漢方薬など様々あります。多くの場合ここまでの薬でコントロールがつきますが、抗アレルギー剤+マイルドな補助薬の併用でも効果が乏しい場合は、免疫抑制剤であるネオーラルというお薬や、一時的にステロイド内服なども使用します。
注射薬
新薬のゾレア(抗IgEモノクローナル抗体製剤)という製剤も5年前に登場しました。元々花粉症に対して使われたお薬になります。じんましんに対して、ゾレアで治療する場合は、1ヶ月に1度注射しますが、3割負担で1回18,000円ほど必要になります。決してリスクが高い製剤ではありませんが、高額な薬剤ですし、まず当たり前の治療としての飲み薬をしてから、難治な慢性じんましんについてはこちらを選択することもあります。当院では現状扱いがありませんので、適応と考える場合は連携病院をご紹介いたします。
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今回はじんましんについて、ごく簡単にお伝えしてみました。特定の原因がわかれば、それを取り除くことで、薬もなしで楽になれるのですが、現実的には少しお薬の力を借りて治療していくことが多いのが現状です。明るくないお話だったかもしれませんが、じんましんで1年以上通院している方って少ないです。慢性であっても、どこかでお薬がなくなっても大丈なことがほとんどですので、体に合ったお薬を見つけていくことも大切かなと思います。
皮膚に関する困りごとは、いつでも相談にいらしてくださいね。
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先週末は休診日の月曜が祝日!ということで休日も仕事してることが多いのですが、子供達と連休してました。朝イチ子供の自転車の練習に付き合い(写真なんか自撮りしてる場合じゃない!ちゃんと横についてよ!と怒っている娘・・・)
午後からリッツカールトン京都に行ってきました。うちには高級すぎるホテルやと思いますが、年に1度必ずいくようにしてます。ホテルなのに京都らしい和を基調とした重厚感のある施設の良さもさることながら、近すぎず遠すぎずのサービスの心地よさが素晴らしく、いつもちょっとした気づきを与えてくれます。キッズプログラムもあって、完全に子供を預けて大人の時間を味わえるのも嬉しすぎるサービス。
食べて食べて泳いで食べて飲んで寝るという理想の休日でした←