陥入爪(巻き爪由来を含む)の根治術フェノール法について 〜手術写真 | 症例写真 | 日帰り| 痛み | ダウンタイム|あゆ皮フ科クリニック|高槻市の一般皮膚科・小児皮膚科・皮膚外科・美容皮膚科

〒569-1142 大阪府高槻市宮田町2-40-10 たかつき宮田ビルII 2F
Tel.072-668-1415
ヘッダー画像

ブログ

陥入爪(巻き爪由来を含む)の根治術フェノール法について 〜手術写真 | 症例写真 | 日帰り| 痛み | ダウンタイム|あゆ皮フ科クリニック|高槻市の一般皮膚科・小児皮膚科・皮膚外科・美容皮膚科

陥入爪(巻き爪由来を含む)の根治術フェノール法について 〜手術写真 | 症例写真 | 日帰り| 痛み | ダウンタイム

大阪府高槻市の皮膚科と美容皮膚科のハイブリッド診療を行うあゆ皮膚科クリニックの院長、菊澤亜夕子です。

最近保険診療の内容が続きまして、今日は爪トラブルの内容です。痛々しい血を伴うお写真をお出ししていますので、苦手な方はちょっとスルーいただけますようお願いいたします。次の回ではシミ治療の話か、レストランの話かしようかなとぼんやり思ってますので、今回はご興味のある方のみ続けて読んでくださいね^^

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陥入爪とは?

実は多い、爪の悩みの一つである陥入爪(かんにゅうそう)。陥入爪とは、爪の角や爪横の部分が、指の皮膚に突き刺さって生じる病態です。痛み・腫れ・赤みなどの炎症を起こし、その結果として慢性的に炎症が続くと肉芽と呼ばれる、赤い盛り上がったじゅくじゅくとした傷になることもあります。多くは足指の第一趾(親指)に起こります。

このような爪ですね。爪の際が食い込み皮膚を圧迫して強い痛みを生じています。炎症が長引くことで爪の際に出血のしやすい肉芽を形成しており、すでに爪がうもれ、足指全体に腫れぼったい状態です。(お写真を提供くださった患者さんありがとうございます。)

巻き爪と陥入爪は同じ?

よく混同されますが、巻き爪とは厳密には異なるものです。巻き爪は爪が巻いている状態ですね。爪の変形の一つです。爪き爪に伴って爪が皮膚を巻き込みつき刺さり、痛み・腫れ・赤みなどの炎症を伴うと、陥入爪になることはあります。陥入爪は、巻き爪ではなくても、爪を短く切りすぎたり、打撲などをきっかけに生じたり、また元々爪の幅が皮膚の幅に比べて大きいケースでは形状的に爪が皮膚を圧迫しやすいので、爪を切りすぎないように工夫していても生じたりするものです。

陥入爪の専門家は?

いづれにしても、陥入爪は強い痛みを伴うことが多く、しかも爪の悩みは、一体どこの科に相談したらいいの?と迷われることも多いかと思います。基本爪は、皮膚の一部ですのでもちろん皮膚科で対応いたします。

陥入爪の治療法は?抗生剤で良い?

一つ注意しておきたいのは、陥入爪は、炎症を生じた結果二次的にばい菌感染を生じることはあれど、基本的な病態として、感染症が主ではないので、抗生剤は根本治療ではありません。ひょう疽という感染症の場合は、抗菌剤だけで治ることも少なくありませんが、爪が食い込むという物理的な問題を解決することが治療になるので、抗生剤を飲んで、抗菌外用剤を塗るだけでは、治らないことも多いです。飲んで塗って治ったら、痛みもないし一番良いのですが・・

陥入爪の治療はいくつかあります。とりあえず食い込んでいる爪の部分に綿花を食い込ませるだけのコットン固着充填法 、サージカルテープで皮膚を引っ張りこんで食い込みを和らげるテーピング法、部分抜爪(楔状切除)、アクリル人工爪など。今日はこの辺りの対症療法的な処置は割愛します。

で、色々しても何度も何度も繰り返すケースで、爪の幅が広すぎるという形状的な問題が根本にある場合、そこにアプローチするのがフェノール法ということになります。

フェノール法とは?

食い込みやすい爪の外側部分(ピンクの部分)を抜爪します。爪母と言う表面からは見えない皮膚の生え始めの部分から部分的に爪を抜いて除去し、その爪の根本を薬品の化学的な力で、やけどさせて、腐食し、爪が部分的に生えないようにする処置です。

フェノール法の実際

①まずは足趾ブロック麻酔です。部分麻酔ではなく、指の根本の内側外側4箇所から麻酔を行い、趾全体を痺れさせ感覚を無くします。

②処置の際に出血をさせないことが大事なので、足趾の根本を駆血して一時的に血が通わないようにします。

③爪を部分的に抜爪します。痛々しく見えますが、この時には痛みは全くありません。見えている部分だけではなく、深い部分の爪母からしっかりと爪を除去します。

④フェノールという化学薬品を染み込ませた綿棒を爪母に繰り返し擦り付けます。駆血の影響で皮膚の色調が悪いですが、処置は10分以内に終わりますので、健常な方すぐに血流が再開され問題ありませんが、そもそも閉塞性動脈硬化症など動脈の詰まりなどで血流が落ちている方には適応されません。

⑤最後に駆血を解除して、フェノールをエタノールにて中和させ、生理食塩水で十分に洗浄し、消毒を行います。ガーゼを厚めに巻いて圧迫させて処置は終了となります。

処置時間

15分程度、日帰り、予約制

処置後の通院

翌日傷のチェック、1週間後、1ヶ月後

制限

当日は出血しやすいので、入浴は不可。翌日の傷チェック後シャワー浴が可能となります。プールなどは傷が閉じるまで1−2週間制限されます。

痛み

麻酔の際に数分痛みがあります。極力痛みが少なくなるように、細めの針を使用したり、注入速度などに最大限の注意を払っています。

翌日以降は鎮痛剤などを利用してもらうこともありますが、日常生活には問題ありません。

フェノール法のデメリット

ここまでの説明ですと、フェノール法は根治的で、比較的短時間の処置で終わるしとってもいい!という印象かもしれません。ただフェノール法を受ける方には必ずお伝えしていることですが、この処置の残念な点もあります。初めての陥入爪の方には、一旦対症療法的に他の処置を行い、どうしても繰り返すトラブルで困っている方のみに適応する理由でもあるのですが、大きく以下の2点になります。

デメリット①変形

直後ではないにしても、月から年単位の長期的な予後として、爪の幅が極端に狭くなったり、爪が伸びなくなったり、見た目の美しくない爪の状態になることがあります。

デメリット②再発

根治的とはいえ、あまりデータはありませんが、やはり少ない確率で一定数変形した爪が部分的に生えてきたりと、再発するリスクもあります。

そのため完璧な手術とは言い難いので、当院でも適応を見極め、そこに至るまでの経緯などを鑑みて手術の適応について判断させていただいています。まずは将来的な爪変形のリスクのない簡易な方法で可能な限り対処していきますし、爪の状態で必要な処置をしっかり判断していきますのでご安心くださいね。

爪トラブルでお悩みの方は、めちゃくちゃ痛くなる前に、いやなってからでもちゃんと対応しますので、ご相談にいらして下さいませ^^