保険適応ワキガ(腋臭症)手術の治療その④〜皮弁法(剪除法)の位置付け | 脇ボトックス | 患者さんアンケート|傷跡最小限の工夫 | ダウンタイム短縮 | 日帰り手術|あゆ皮フ科クリニック|高槻市の一般皮膚科・小児皮膚科・皮膚外科・美容皮膚科

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保険適応ワキガ(腋臭症)手術の治療その④〜皮弁法(剪除法)の位置付け | 脇ボトックス | 患者さんアンケート|傷跡最小限の工夫 | ダウンタイム短縮 | 日帰り手術|あゆ皮フ科クリニック|高槻市の一般皮膚科・小児皮膚科・皮膚外科・美容皮膚科

保険適応ワキガ(腋臭症)手術の治療その④〜皮弁法(剪除法)の位置付け | 脇ボトックス | 患者さんアンケート|傷跡最小限の工夫 | ダウンタイム短縮 | 日帰り手術

こんにちは。大阪府高槻市の皮フ科と美容皮膚科のハイブリット診療を行うあゆ皮フ科クリニック院長の菊澤亜夕子です。夏も真っ盛りになって来ましたが、今年の夏は例年と違って、今のところ蝉の「み”ーーーん、み”ーーん」のうるささがなくて、ちょっと爽やかに感じます。うちの近所だけでしょうか。クリニックでは夏の暑さ、汗がきっかけで皮膚のトラブルが増えており、当院にも毎日たくさんの患者さんが来院され、ゆっくりお話を伺うという理想の診療とはほど遠く、私は院内をハムスターのように駆け回っており、本当に申し訳ありません。もはや子供に、廊下で走ったらあかんで、なんてとても言えません。

うちのこの子を見てると、クリニックにいる自分に見えてなりません・・・

そしてペットショップで「同性二匹ください」ってあれだけ言ったのに、ある朝なぜかちっこいのが8匹も増えていた、あの衝撃的な日を忘れたことはありません。さすがに悪気のない店員さんを恨みそうになりました・・笑。きっと子供も”ねずみ算”という言葉を覚えてくれたず。。。

そんなバタバタを言い訳にブログもちょっとサボりがちになっていたところ、今週「(ちょっと更新止まってるけど)先生のブログ楽しみにしてますよ〜!」と同年代の方にお声を頂戴しまして、嬉しくなって元気が湧いてきましたので今日は更新いたします。そうこの言葉を聞いた夜、子供にも、「何にも宿題せんから勉強できるようにならへんねんで」ではなく、「ちゃんと夏休みの宿題して、試験で成果を出してくれるんが楽しみやわ♡」という言い方に変えようと思いました←。言葉は大事ですね、素敵なお声がけありがとうございました。

我が家の小4、この3ヶ月で初めて家で勉強してる姿を見て嬉しくて撮影したけど・・なんかとってもヘラヘラしてる笑。今年は怒ることなく、夏休みの宿題を終えさせることができるのだろうか・・私にとっても大課題。

さあ、本題。暑い最近、毎日のように相談をいただく汗のお悩み。部位によって治療が異なりますが、今日はわき汗のお話。当院ではわき汗の手術である剪除法(皮弁法)を行っており、その手術を目的に受診される方も少なくありません。では、匂いがあればすぐ手術?汗の量が多いとまずは手術?と考える方もいらっしゃると思いますので、手術加療の位置付けについてお話します。

わき汗治療における手術(剪除法,皮弁法)の位置付けは?

ちょっといい加減に簡略化した治療ピラミッドにはなりますが、苦手なCanvaで自作してみました。ピラミッドの下に位置する治療が、簡単で気軽にまずやってみるべき治療。ピラミッドの上に上がると、リスクも高いが効果も高い治療というイメージです。

細かな話をすると、わき汗の機器治療に代表されるミラドライは、量はある程度抑制できる効果が期待できますが、ニオイにはあまり効かないなと、正直思っています(主観)。そのため完璧なイメージに基づいたピラミッドではありませんが、今日言いたいことは、手術加療はまずやるべき治療ではなく、塗り薬やボトックスといった簡単にできる治療をしてみてみましょう。その上で、高い効果と引き換えに、傷跡の問題やダウンタイムなどのハードルは高めですが、悩みが続く場合は、手術も選択肢になりますよ。というお話です。

汗の量を抑えるには、外用剤も個人差はあれどそこそこ効果がありますし、ボトックス注射はほとんど例外なく、ピタッと感動レベルで汗がしっかり止まって、しかもワンシーズンは効果も持続するし、傷にもならないし、手術までしなくても割とコントロールが効きます、

一方で、汗の臭いについては、塗ったり、飲んだり、注射したりで完全に治ることはなく、最も有効なのはやはり手術だと思います。

手術は安易に行うものではないと考えていますが、悩みが本当に深い方、傷跡は許容できる方、量より匂いが気になる方(ただし本人の思い込みである自臭症は適応外)、手術のリスクが理解できる方、に限っては良い治療だなと、最近は私も前向きに手術を行っております。以前は比較的この手術には否定的な立場だったのですが、たくさん手術をこなす中で前向きに手術を行うようになった理由についても書いてみようと思います。

私が剪除法(皮弁法)を推奨する理由

推奨っていうとすごく推してるようですが、正確にいうと以前より手術に前向きに取り組む理由ですよね。

①傷跡がより目立ちにくい手術方法を確立してきた

毎回手術時に小さな工夫と改良を加える中で、最近は教科書的な従来の剪除法から、随分と変化を遂げました。最近は、脇の下の傷跡も20mm程度とかなり小さく抑えられるようになってます。その小さな切り口からでも従来と同じように、皮下脂肪組織にアプローチして、アポクリン腺という汗の腺を丁寧に手作業で取り除くことができます。傷跡は、皮膚の弾力がある若い方では特に馴染みがよく、綺麗になる傾向が強いように思います。

②ダウンタイム、安静の期間が短縮された

傷口が小さいこともありますが、工夫の積み重ねにより、出血を最大限に抑え、また無駄な操作を極限まで省くことで、組織のダメージも最小限となり、結果としてダウンタイムが格段に短縮されました。

以前は2週間程度は脇が開かないようにガッツリ固定しておりましたが、今ではがっつり固定は数日から1週間。実際には、術翌日に傷チェックし、血液が皮下に溜まる血腫を避けるためのドレーンという細い管を抜きます。さらにその2日後くらいに傷チェックして、問題なければ最速術後3日目で入浴可、ガーゼもオフ、固定も解除としております。以前に書いた時より実際には格段に早期に楽になるようになっております。もちろん術後の状態により、安静解除時期にも個人差は生じますので、1週間は無理なく過ごせるような計画を立てて手術に臨んでほしいと考えてはおります。

患者さんアンケート

特にプレゼントもないのに、ボランティア精神でアンケートをご快諾いただいた患者様本当にありがとうございます。このアンケートのご意見は、毎回手術の小さな改良とそれに伴う結果を私の中で結びつけることで「今日が今までで一番上手な手術でありたい」という思いに、とても大きな力となってくれます。言葉だと、思ったよりパッとしない手術でした・・とも言えないでしょうし、10段階の数字で効果を知らせていただけるのは、私にとって、とてもわかりやすく、実際の効果を知れて励みになります。私の手技の向上には、間違いなくこのようなご協力が役に立ってますし、これからもますますいい手術ができるよう精進します。

一部了承の得られた方のアンケートを公開させていただきます。やはり臭いにおいては100%改善である『臭いゼロ』は難しいようですが、全く改善してない方はこれまでに居られず、8−9割改善の方が多く、たまに5−6割改善の方もいらっしゃいます。

臭いゼロの手術は不可能か?

私は、臭いゼロの手術は難しく目指すべきでもないと思ってます。この手術は人間の手作業であり、アポクリン腺を追いかけすぎて、皮膚をぺろぺろに薄くしすぎると、皮膚壊死といって皮膚に血流が十分に届かなくなり、結果皮膚の一部が死んでしまい、大きな傷あとを残す可能性があるためです。ですので、100%改善は目指さず、許容できる傷跡のレベルで、今より匂いが気にならない、制汗剤をちょっとプラスするだけで全く気にならない、くらいを目指すのがベストかなと、現在のところ考えてます。当院では、私なりの得るものと失うもののバランスを考えた手術を行っております。

年中行っている手術ですので、気になる方はぜひご相談ください。今のところ全て保険適応で行っており、受診も保険診療の予約からお願いします。手術を目的に受診いただく方につきましては、そのようにお伝えくださると、話がスムーズです。基本的に手術希望の申告がない方につきましては、私の方からいきなり手術を勧めることはございません。

今日もまた、私のできる診療で、そしてサポートで、1人でも多くの方の毎日が快適になるといいなと思っています。