皮膚腫瘍切除(粉瘤、脂肪腫、その他皮膚のできもの)の流れ〜術中写真あり〜
- 2026年4月9日
- 皮膚外科
こんにちは。大阪府高槻市茨木市のあゆ皮フ科クリニック院長の菊澤亜夕子です。3月末からは子供の春休みつられて、早寝遅起きで、ブログ投稿もすっかりサボり気味ですが、ちゃんと元気です。今日もにこやかに高槻で生きてます。

春休みのひらパー。大人しく待つことが苦手な私にも、この遊園地は唯一大人っぽくお利口に楽しめる場所!ぐるり森とか乗り物でもないけど、5回くらいぐるぐるできて遊園地に対する自信がつきました。ありがとう、ひらぱ。
当院では、院長が皮膚の手術をライフワークの一つとしてますので、皮膚のできもの全般の手術を日々行っております。この一年で皮膚腫瘍切除は 良性悪性合わせて605件行いました。入院設備がないので、全身麻酔が必要なケースは大病院を紹介しますが、局所麻酔で可能な皮膚の小手術は毎日毎日行っています。手術しなかった日は開院以来一度もありません。
皮膚のできもので頻度の高いものは、粉瘤やほくろになりますが、今日は一般的には名前が知られていませんが、比較的よく遭遇する皮膚線維腫という皮膚の良性のできものの手術写真で、皮膚腫瘍切除の流れを説明していきます。お写真提供いただきありがとうございます。

10年来、大きな変化なく、症状を有さない5ミリの褐色調でわずかにドーム上に盛り上がるできもの。こちらは表面的なできものでなく、皮膚の深い部分(真皮から皮下組織)に腫瘍細胞が増生しているので、表面をレーザーで削ったりするのは不向きです。粉瘤も然り、大きなほくろも然り(ただし、ほくろは小さく浅いタイプのものはレーザーで削ることが可能)、こういった深くまで入っているタイプの皮膚のできものは、きちんと深いレベルで切除して、縫い寄せることが大事です。
なお皮膚科医が見れば、できもののアプローチの方法はすぐに判断がつきます。見ただけで診断はつかないこともありますが、レーザーで削ればいいのか、きちんと切って縫うべきものかはわかるので、お任せていただければと思います。
今回は切って取って縫うという、切除縫合の手術の流れを説明します。
①マーキング
どんな形に切り取るか印をつけます。良性の場合は、極力小さい傷になるように印をつけますが、丸いものを丸くとると綺麗に縫えないので、葉っぱ型(紡錘形)に印をつけて、最終的に平らに綺麗に縫い寄せれるようにします。なので、丸い形の円の直径より傷の形は長くなります。

こんなイメージですね。
一方で、皮膚の下のできもの(皮下腫瘍)の場合は

こんな具合に、皮膚の下の丸いできものに対して、表面の切り口はもう少し小さい形で行うことも多いですが、いづれにしても縫い目の端っこの凹凸(ドッグイヤー)をなくすために、このような切り目になります。
②局所麻酔

消毒をしたのちに、局所麻酔の注射を細い針を使って患部に直接注射します。当院では30〜34Gという、一般的な病院よりかなり極細の針を用いることが多いです。顔は内出血しにくいように、また細い針の方が、麻酔液がゆっくりと浸潤するので、痛みがだいぶ少ないです。手術における痛みは、基本この麻酔注射の痛みのみです。手術の途中は痛くないです。麻酔自体を無痛にはできませんが、極力痛みが少なくなるようにと念じながら、気持ちのみならず手技的に痛みを最小限にするような注入方法を心がけています。
美容皮膚科の施術なんかはものすごく針の繊細な動きを要するので、私自身、大病院で保険診療の皮膚科だけをしていた時代より、美容医療に携わってから、注射への意気込みと手先の動きがずいぶん変わりました。傷跡には麻酔方法は全く影響しませんが、自分の手術で強烈な痛み記憶を患者さんに刷り込むのだけは極力避けたい、と心の中でいつも思いながら丁寧に行っているつもりです^^
③皮膚切開

こうして麻酔をして下準備ができましたら、いざ皮膚切開です。メスを使って皮膚をピーンと引っ張って、皮膚に切れ目を入れます。切る限りは浅くとかしません。綺麗に縫うためには脂肪組織のレベルまで深く切れ目を入れます。
④腫瘍切除

写真は血まみれでよく見えませんが、必要に応じて血を止める機器を使いながら、腫瘍を切り取ります。痛そうですが、全く痛くないです。万一痛かったらすぐに麻酔注射を足して、無痛で行います。取り終えたら生理食塩水で洗浄します。
⑤下縫い(皮下〜真皮縫合)

ものが取れたら皮膚の下を縫い寄せます。縫わない部位も稀にありますが、基本的には皮膚表面だけではなく、傷が開かないように、傷が後々伸びて汚くならないように、深い部分に引き寄せる張力をかけて縫います。ここをいかに綺麗に縫うかが最終的な仕上がりに大きく影響します。(なお部位によって下縫いをしない場所もあります。)
ちなにみ感覚がないので患者さんには何をしているかわかりません。多少感覚があったとしても、引っ張られる感じがある程度です。
⑥上縫い(表皮縫合)

最後に上縫いをして終わりです。術後に糸が見えにくいように透明の糸で縫うことも多いです。見えない部位では黒い糸を使うこともあります。右下が術直後の写真です。四肢、背中など、傷のテンションがかかりやすい部位では、盛り上げて縫うことで、最終的に、傷の幅が小さく、目立ちにくい傷になることを見越してこのような縫い方をします。なお顔などではこのような盛り上げる縫い方は行いません。体の部位によって、縫い方も変えていますし、糸の太さや色なども考慮しています。あくまで今回は腕の一例です。
⑦ガーゼ固定

最後に軟膏塗ったガーゼで十分圧迫して終了します。当日は出血しにくいように厚めのガーゼでギュッと抑えておくことが大事です。術後お家に帰る時はこんな具合です。
⑧術後ケア
傷は軟膏でベトベトにさせてカラッとさせない方が綺麗になりますので、糸を抜くまでは常に湿った状態になるようにお願いしています。当日(出血が心配な場合は翌日)からシャワーなどの流水洗浄をしてばい菌がつかないようにします。基本的に当院では抗生剤は出しません。(基礎疾患などを考慮して出すこともありますが)綺麗に洗っていればばい菌の感染はほとんど起こらないからです。そして傷口から滲出液が出る期間は、絆創膏ではなく、十分に汁を吸ってくれるガーゼを推奨しています。滲出液がなくなれば糸が付いていても、糸むき出し、ガーゼなしでも大丈夫です。
⑨抜糸
部位によりますが1−2週間で糸を抜きます。抜糸後数日までは、傷にテンションのかかるような動きや運動は控えていただきます。四肢、臀部、背部、足などは、注意が必要な部位になります。小さな傷の時は、糸があっても入浴してもらってますし、顔や首など湯船に浸からない部分は当日か翌日から入浴してもらいますが、基本は患部を浴槽につけるのは抜糸後からとしています。
⑧テーピング
抜糸後も部位によっては傷がより綺麗な状態で治るようにテープでのケアも案内します。傷は、可塑性と言って半年間くらいは伸び縮みがあるので、その間はきちんとケアすることでより綺麗な傷に落ち着きます。
以上が日帰りの皮膚のできもの手術(単純切除縫合)における流れです。皮膚のできものでお困りの方の参考になれば嬉しいです。
できものは、すぐに切られちゃうんじゃないかと、受診するのもちょっと怖いし緊張するかもですが、大丈夫です。院長が手術好きでも、基本皮膚科医なので手術以外の方法で改善の可能性があれば、まずは痛みや傷跡の負担のない治療を行いますし、必要のない方には手術勧めませんのでご安心ください笑。医療行為は塗り薬一つとっても、いつだって相談しながら、希望を聞いて行うようにしています。また手術のつもりで来院されても、できものの状態によってはタイミングを見計らってになることもありますが、いろんな治療の可能性を提案できるよう準備しております。
腫瘍切除は全て保険適応です。ではまた♡
