③保険適応ワキガ(腋臭症)に対する皮弁法(剪除法)〜安静度 | 仕事いつから | ダウンタイム | 検診・通院
- 2025年3月5日
- 脇汗・腋臭症・手汗
こんにちは。高槻市の皮フ科と美容皮膚科のハイブリッド診療を行うあゆ皮フ科クリニック院長菊澤亜夕子です。
このところ、寒い時期なので旬でもないはずの、脇の臭いの根本治療となる皮弁法(剪除法)のご相談がなぜかとても多いです。なんかブームが発生したんかな、とついつい患者さんに思い切って受診くださったきっかけなんかを聞いてみますが、以前から悩んでいたので・・という特に盛り上がることのない会話に終始しております。自分の会話力のなさが、我ながら不憫です←
皮弁法(剪除法)は私が研修医になったころには、そうもう20年近く前にはすでに確立しており、そのまま大きな進化を遂げることもない一方で効果も評価できるため変わりなく続く古典的な手術でもあります。いや、ちょっとプチ自慢させてもらうと←私自身は個人的に改良を重ねて進化させた方法を最近行うようになりましたが、やはりアポクリン腺を手作業でとるということには変わりありませんよね。
汗の量を抑える保険適応外用剤であるエクロックゲルやラピフォートワイプあるものの、それらはあくまで量に対する治療薬。エクロックゲルの使用により、汗の量と共に多少はニオイ改善したという論文が出ては来ていますが、ワキガに抜群に効くということはありません。つまりいまだ汗の匂いの特効薬はなく、手術を超える劇的に効くワキガ(腋臭症)治療がないのが現状です。美容クリニックでよくあるミラドライという汗の線をやいてしまうデバイス治療はありますが、正直匂いには、うーんという程度の効果。傷ができないメリットは大きいのでそれはそれでいい機械やとは思ってますが。
という話はこれまでもワキガ(腋臭症)ブログ①②と記載してきました通りです。ここで、追加として今日は質問の多い、いつから仕事できるの?学校行けるの?に答えたいと思います。
仕事いつからできる?
仕事の内容によります!と言いたいですが、ごちゃごちゃ言わずに一言で言ってよ〜に答えると『2週間後から仕事OK』ということになります。
ごちゃごちゃ言っても許してくれるなら・・・
こんな姿勢↑なら、翌日からOK。脇を閉めたデスクワークできます。フツーに家で歩けます。テレビ余裕で見れます。話できます。めっちゃ歩くとか、自転車、バイクは2週間厳しいと思っておくのが無難。車の運転も、ずっと脇閉めとかなあかんのでやや厳しい。
注釈:イメージ通りの画像を見つけて、勝手にネットから引っ張ってきました、元彼でも夫でもありません
ハンドルグイーンと回したり、女子が喜ぶこの姿勢(格好いいか知らんけど)↑とか、脇開いてるからあかん。とにかく脇が開いたらあかんのです。
この、ヨイショッって高い位置にものを乗せたりもだめ。
洗髪したりもだめ↑そう脇見えるやつがあかん。
ちょっとむかつくこの仕草↑も2週間我慢して。逆に言えば、正直少々合併症で、傷が開いちゃったりなんかしても、2週間経てば、このポーズよかったらしてください。できます。
安静度なんとなーく伝わりましたか?
当院では無意識に腕をあげないように、術後1−2週間三角巾での安静固定をお願いしています。
片脇ずつ手術する理由
当院では、両脇が2週間あげられないのは苦しいし、やっぱり脇あげちゃってトラブルになるのも嫌なので、原則片わきずつの手術で対応させていただいてます。おかげさまで手術を受けてくださる皆様が安静を遵守してくれるからか、今のところ当院では大きな合併症は起きず、傷が大きく壊死して再手術に至った例はありませんが、調子に乗らずに、私は気持ちを引き締め、患者様には脇を引き締めた安静をお願いし続けております。
2週間経てば対側の手術が可能ですが、保険適応上、月をまたいだ手術とさせていただいております。例えば2月に右側したら、最低2週間あけて3月に左側の手術、といった具合です。
入浴・シャワーはいつから?
シャワーは大体1週間後からです。傷の具合がよろしい方は、最速3-4日後くらいからシャワー許可を出させてもらってます。すごく急いでシャワーに入らないと耐えられない方もいらっしゃると思うので、検診の際にお尋ねください。入浴は基本2週間後からですが、これもまたすごくお風呂好きの方は傷の具合で相談させて欲しいのでお声がけください。
恩納村UMITO PLAGE The Atta Okinawaにて
検診・通院は?
術翌日:脇の下に血溜まりができないようにするためのドレーン(直径2ミリのストローみたいなやつ)を抜きます。ちょっと嫌な感じですが、通常すごく痛いとかはありませんし、その後だいぶ楽になります。
術後3−4日:ガーゼ交換、皮膚の色調、テープかぶれの具合など確認。安静度の指示。都合がつかない方はやむなく検診省略可。
術後1週間:がっつり固定の俵ガーゼを外し安静度の軽減。三角巾の固定も外すかも。部分抜糸。
術後2週間:全抜糸。基本軟膏処置終了。傷が部分的にじゅくついているときはガーゼ継続。安静度ふりー。
術後1ヶ月、術後3ヶ月、術後6ヶ月:傷の不具合がないかチェック。6ヶ月でフォロー終了です。ニオイもバッチリ改善したかも伺います。
安静固定が大事な理由
簡単にいうと汗の腺を取るということは、一度皮膚を皮下組織から剥がして、もう一度皮下組織に皮膚を張り付け直す手術です。ずれると血流がうまく通わずピタッと生着せずに皮膚が死んでしまって壊死になります。そうなると傷が美しく治らないし、瘢痕と言って盛り上がったり後々通常以上にケアが必要になってしまいます。よって初期にしっかり脇を圧迫して固定することに価値ある手術です。ぜひご協力お願いします。
術後大変?
もう医者の発言とは思えないざっくりの表現でいうと、一番大変なのは、手術の夜から翌日。その後は日に日に楽になります。1週間でだいぶ楽。次の1週間でさらに楽。2週間でほぼフツーになります。
気になることが少し解決されましたでしょうか?手術を希望される方は、当院では毎週のように行っている手術です。一度受診の上、何なりとご相談くださいませ。