わき汗、手汗、足汗、頭汗、顔汗あちこち汗対策の塗り薬とボトックス注射について | 塩化アルミニウム | キュアデイズ | ラピフォートワイプ | エクロックゲル | アポハイドローション
大阪府茨木市よりの高槻市に位置しますあゆ皮フ科クリニック院長の菊澤亜夕子です。当院はお盆もお休みなく営業してます。まだ開業2年弱なのでやたらと気合が入ってます←やっぱりニーズがあるうちが華!みたいな感じでしょうか。来年も再来年もお盆に営業できる体力があるかはわかりませんが、とりあえず今年は、自分も元気で、スタッフのみんなもついてきてくれてありがたいなと思いながら、あちこち皮膚科がお休みでお困りの方の対応ができて、喜んでいただけて?嬉しい限りです。
そうそう、今日は汗のお話。夏の始まりに旬の記事として書くつもりが、完全に洋服のセール時期みたいなタイミングになりました。。。やろうやろうと思ってたことがなかなかできないタイプかもと、今更自分にハッとしました←。汗の悩みは意外と多いもので、まさか医療機関で治療があるとは知らなかったと言う潜在的な方も多いと思います。汗は何科行くの?汗の元になる汗腺は皮膚にありますため、基本は皮膚科の領域になります。
当院では脇汗の匂いである、腋臭症=ワキガの手術件数が個人クリニックにおいてもかなり高い(お盆は毎日2件とかやってます)ためか、汗の相談は毎日受けています。
まずは悩みのメインが、汗の量なのか臭いかによって治療が分かれますが、汗の量が多くて困ってる場合は、保険適応の塗り薬を優先的にご提案いたします。いきなり手術を勧めることはなくて、まずは塗り薬が基本ですので怖がらずにいらしくださいね。そして細かな話をすると多汗にもいろいろありますが、今回は汗の中でも頻度の高い原発性多汗症に限っての治療の話になります。
わき汗専用の塗り薬(汗の匂いより量が気になる方に効果的)
保険適応は2剤、①エクロックゲルと②ラピフォートワイプともに神経に働きかけるタイプで作用機序は同じですが、剤形が違います。
体が、汗出してーという本当にやめてほしいような指令を出して来た時に、神経に作用して、その不要な指令をブロックしてくれるという機序で汗を抑える塗り薬。どちらも一度塗ったら一生もん、という夢の薬ではないので、毎日毎日寝る前にコツコツ塗ります。
①エクロックゲル
1つ目のエクロックゲルは、スティック上で直接薬液を手につけずに脇に塗ることができます。12歳から。しつこいけど薬が手につかないのが、最大の利点。最近はボトルも改良されてとても塗りやすい。
②ラピフォートワイプ
2つ目は持ち運びが便利で、毎回清潔に使える拭き取り式、使い捨てのラピフォートワイプ。私はラピッドコンフォートから由来したと思われる、ラピフォートと言う製剤名が好き!ちょっと扱いが面倒な割に、なぜかラピフォートは適応年齢9歳から。
気になる効果については、二つの製剤にあまり優劣はないように思います。よく効く方も、まあまあ効く方も、時にちょっと効果イマイチな方もいらっしゃいますが、市販の制汗剤で満足が得られない方はぜひ試して欲しいです。過度な期待をせずに使ってみると、案外いい感じかもです。またエクロックには、量に加えても嫌な匂いにも効果があると言う論文も出てますね。実際、当院の患者さんからもも量だけではなく、匂いにも意外とよく効いて嬉しいという声もあります。
手汗専用の塗り薬
③アポハイドローション
毎晩、寝る直前にシュシュッと5プッシュ手に振りかけて均等に手のひらに馴染ませる薬。目に入るとよくないので、そこが少し使いづらいけれど、効果も得られる方が多い印象。万人に効くとは言えませんが、手汗で人と接しにくかったり、手汗が気になると思えば思うほどに・・ジワジワと余計に汗が吹き出したり、また試験の紙がびしょびしょに濡れたりと、悩ましい方にはぜひお試しいただきたいです。やっぱり毎日毎日塗ります。12歳から。
わき、手はもちろん他部位(顔や足など)の多汗にも使える塗り薬
③自家製塩化アルミニウム製剤
上記①②③の薬剤が無効やイマイチの場合、また手とわき以外は保険適応の外用剤がありませんので、足汗などそのほかの部位の汗には、保険適応外にはなりますが塩化アルミニウム製剤もぜひ試してもらいたいです。汗の腺に蓋をするような作用機序ですので、①②③とは薬効が異なります。効果は良い方が多いですが、時に痒みが出るのがちょっとマイナスな点にはなります。外用剤の類は、使ってみないとわからないですし、問題なく使える方の方が多いので、一度はぜひ使ってもらいたいものになります。足の裏のように皮膚が厚い部分にも効果が出やすい濃い濃度と、標準的な濃度の二種類をご用意しております。自家製ゆえ、パッケージは可愛さがないのがとても残念ですが、その分お値段も抑えてお渡ししています。(下の写真左)
④キュアデイズQUADAYS
パッケージが可愛いキュアデイズという塗り薬も用意してます。キュアデイズはクロルヒドロキシアルミニウムと言う、塩化アルミニウムの肌への刺激性を弱めて改善させた成分がメインのため、塩化アルミニウムに比べると痒みが出にくいのが特徴。また有効成分として配合されるもう一つのイソプロピルメチルフェノールが抗菌効果を発揮して匂いの改善も期待できます。要は制汗+防臭ですね。ジェルタイプで、顔にも塗りやすく、非常に使い勝手が良いです。(上の写真右のおしゃれなほう)
1度の注射でワンシーズン効果が期待できるボトックス注射
でも毎日毎日塗りつづけるのは流石に面倒!という方には、ボトックス注射も用意しております。ボトックスはお顔のシワをコントロールする目的で使用することも多いですが、汗を抑える効果もあります。体のあちこちの汗抑制に使いますが、なんといってもコスパがいいのはワキ!ワキは、他の筋肉に作用することがないのと、わき汗の出る全ての範囲に注射できるため、完全に汗ゼロにまで抑えられることがほとんどです。
わきボトックス注射
脇に直接細い針で20箇所くらい注射します。片脇5分のチクチクで痛みのその瞬間に限られます。当院では特にオプションではなく、全例にボトックスに秘伝の←麻酔液を仕込ませております。そしてしっかりお冷やしすることで痛みの緩和をしております。それでも怖い方は、麻酔クリームや笑気麻酔もご用意しております。まあまあ痛みはなんとかなります。痛み以上にその後の毎日の塗り薬から解放されてサラサラの快適感のためリピーターのとても多い施術です。保険適応外にはなりますが、とてもおすすめです。リスクについても、他の部位の汗が増える代償性発汗がゼロとはいかないくらいで、ほとんどトラブルはないのは評価すべき点ですね。
ワキ以外のボトックス注射:頭、顔、額、手、足にも対応
ワキ以外の場所にも対応しております。頭皮や額を含む顔面、手足の多汗でお困りの方も多いのです。ただ、頭、手、足は痛みが脇より強いです。笑気麻酔の併用をお勧めしてます。また頭は全ての範囲を打つのは範囲が広すぎて難しいため、生え際など場所は相談しながら行いますが、100%は難しいです。手は、しっかりしすぎると少し力が入りにくい部位が出るかもしれません。顔や額は範囲が狭いもものの、表情筋というお顔の豊かな表情を作る筋肉があるため、しっかりやりすぎると違和感が出やすいため、こちらも完璧は難しく、あまり表情筋を邪魔しない程度に、濃度や打つ深さを考慮して発汗が気になる部位に打ちます。背中や胸などは範囲が追いつかずちょっと対応が難しいところで、ボトックスも全ての部位に、完璧に、とは言えませんが、お役に立てるかどうかぜひ相談にいらしてください。
今日は薬の禁忌(使えない病気を持っている方)や、合併症についてはかなり割愛してしまいましたが、カウンセリングの際に細かな点はしっかり説明しております。汗でお困りの方に、少しでもお力添えできると嬉しいです♡
そして・・ここまで書いて、あちゃーと思ったのですが、去年も汗の記事で同じような内容を書いてました。またかと、お気づきになった方すいません。私自身も自分にがっかりしましたが、きっと来年も忘れて書いてしまうんだろうな・・人間だもの