わき汗・手汗はあゆ皮フ科クリニックへ(ラピフォートワイプ・アポハイドローション・エクロックゲル・ボトックス注射)
わき汗の治療について
汗じみが気になって着る服が限定される、好きな色が選べない、なんていうお悩みを経験されたことがある方は少なくないと思います。
そもそもわき汗ってなに?アポクリン汗腺とエックリン汗腺があり・・なんて話は今日はスルーしましてわき汗ってどんな治療があるかについて書いてみようと思います。
わき汗治療に対する、皆さんのイメージはどんな感じかな?と、今Instagramで「わき汗」と調べたところ1枚目の画像ですコレ!うんうん・・・そうだよね。いかに多くの方が、制汗剤で対応されているかということがわかりました。
わき汗は、正式には、原発性局所多汗症といい、日常的に汗が多く、緊張すると手やわきに多く汗を書いてしまうという症状です。
全ての方に保険適応というわけではないですが、日常生活に頻繁に支障があるようなレベルの多汗であれば病気ということで保険適応で、お薬が出せる場合もあるのです。
ただ、わき汗、手汗、など汗の治療についていろんな媒体を検索してみると、皆自分の得意分野を全面に出すので、俯瞰した形での記事がとても少ないのが現実です。(機械を売りたいところは、機械の話ばかり・・のような)なので、今日は、当院で行わない治療も含めて汗治療について網羅的に書いてみようと思います。
わき汗(手汗)のざっくり分けて4つの治療法
①塗る(わき汗・手汗の外用剤)
数年前まで保険適応で出せる手軽な薬はなく古くから、塩化アルミニウムが使われていました。汗の開口部を塞いじゃえ!みたいな薬ですね。
まあまあ効く人もいるので全然悪くないので、私もよく病院で自家製剤として処方していましたが、次に説明する保険適応のお薬が出てしまったので、もはや市場における寿命はそう長くないのではなかろうかと思います。
2020年に保険適応として初めて塗る外用剤が登場しました!それが「エクロックゲル」ですね。業界では割と話題になりました。エクロックゲルの作用機序は、簡単にいうと神経に作用して、汗出すでーって指令をブロックすることで、汗を抑えるのです。すでに使いやすいボトルに刷新され2代目です。
その後、新しい材系としてシート状の製剤が登場しましたのが「ラピフォートワイプ」です。塗るではなく、拭くタイプですね。持ち運びもしやすくとても便利です。9歳以上の適応。でもわき限定です。
ラピフォートワイプのメリットは、圧倒的な手軽さ、安さでしょう。デメリットは、毎日の管理が必要なので完全に忘れることはない、めんどくさい、見られたら嫌だ このあたりでしょうか。ただいわゆる制汗剤よりは優れていると思います。
さらに、その後、手汗用にも塗る薬が登場しました。手汗専用の「アポハイドローション」です。もちろん保険適応です。寝る前に手で塗って、顔や他の部位は触らず、手を洗うだけ。というどれも使用方法は簡単です。
現状手汗に関しては、この後話すボトックスや、あまり話す予定のないイオントフォレーシスもありますが、この外用剤がファーストチョイスです。
②注射(ボトックス)
言わずとしれたボツリヌス製剤(通称ボトックスなので、以下ボトックス)ですね。個人的にはこれが好きです。友人にも気安く勧めてしまいます。ボトックスはシワの治療としても有名ですが、いろいろな作用があり、エラをスッキリさせる小顔注射としても有名ですし、毛穴を引き締めるスキンボトックスや、肩こりの緩和や・・そして今回の汗を抑える治療としても、ボトックス注射は画期的な薬です。
一回のボトックス注射で、ワンシーズンは乗り切れます。注射後数日で、嘘のようにピタッと汗が止まるのは本当に感激です。注射をワクチン接種のようなつねられるような痛みが複数箇所ありますが、片側1−2分であっという間に終わります。ガーゼも不要で、当日からのシャワーも問題なし。
内出血はリスクとしてはありませすが、気になることは少ないかと思います。安全性も高く顔のように表情に違和感が出ることもありません。強いて言えば代償性発汗と言って、たくさん打つと他の部位の発汗が気になることがごく稀にあります。
とにかく、手軽で効果的、安全で、費用もそこそこで、私の中では一押しの治療ですね。もちろん当院でも行います。製剤によりますが3万円〜キャンペーンや料金変動もあるので料金表をご覧くださいませ。
ただし、手足のボトックス注射はとても痛いです。麻酔クリーム塗ったり、笑気麻酔で行ったり、先に局所麻酔したり色々工夫してみましたが、やはり痛い・・・
③機械
わき汗の機械といえば「ミラドライ」本当にそれ専用の汗のためだけに生まれてきた、汗に特化した優れた機械だと思います。だいぶ痛めの局所麻酔をたっぷりして、1−2時間の施術で終わります。腫れ痛みなどのダウンタイムが強いのが1週間程度ですね。傷ができないのが特徴で、効果の実感は5−7.8割の改善といったところでしょうか。5割改善くらいだど、物足りなくてもう一度施術される方が多い印象でした。
というのも、私のクリニックには導入いたしません。したい方は元勤務先にご紹介できます。一応半永久とは謳うものの、実際には、時間と共に戻ってくるケースもまあまああるかなと思いますが、それは手術にしたって完全永久なんてことはないので同じかなと思います。
これを一回して、あとはボトックスで気になった時にメンテナンスするのもよろしいかも。
費用は25〜35万くらいが相場でしょうか。調べてないのでいい加減です。←でも消耗品もある程度高額ですし、施術時間も長く必要なものですので、そこまで安くはできないと思います。
④手術(剪除法、皮弁法)
昔から保険適応で、剪除法(せんじょほう)や皮弁法と呼ばれる手術があります。脇の下の皮膚を数センチ切って、皮膚をしっかりとめくり返して、中にある汗腺を皮下組織ごと直接切除していく方法です。傷が残ってしまうことと、どうしても範囲に限界がある点、ダウンタイムがとても大変なのがデメリットです。ガッチリと圧迫固定しないと、血溜まりが生じてそれが感染や傷が開く元になるのでこの固定は欠かせません。
手術(剪除法・皮弁法)の効果はもちろん良いです!人間の手仕事ですし、切って捲れる範囲に限られる点で言うと100%とか確実に永久とまでは言えませんが、快適に過ごせるようになります。また最近は保険の昔ながらの方法以外にも、自費だといろいろな手術方法もあります。今回はそこまで紹介しきれず、すいません。。
当院では、保険適応の剪除法・皮弁法はニーズがあれば導入しようかと思いますが、個人的にはボトックスが好きなこともあり、ひとまず保留です。
あと番外編として
⑤内服薬のプロバンサイン
抗コリン薬として他の病気でも使われたりもしますが一応皮膚科のガイドラインでも推奨されていますが、現実的には効果にばらつきもありあまり出回っていないと思います。
⑥イオントフォレーシス
これは手足の汗に対して、水道水の入った容器に20-30分手足を浸し、直流電極を流す方法で、初めは10回ほど密に行い、ある程度落ち着いたら週に1−2回に減らすという通院が必要な治療です。面倒・退屈以外には苦痛はほぼなく、効果はあり、保険適応で安価なので続けやすく気にいる方が多い印象です。私も導入予定でしたがその矢先に外用剤が出たので、ひとまず準備取りやめてしまいました。
こちらは置いている皮膚科は少ないですが、神戸のやました皮フ科クリニックには置いてます。名指し・・。(院長は爽やかでいい先生、私の大好きな先輩です。)
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まだまだ話せることがありメリットやデメリットも書き入れていないのですが長文なってしまい、読むのもぐったりだと思うのでこの辺りで終わります。何が言いたいかというと 一言だけです。
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