アトピー性皮膚炎の歴史と新薬イブグリースと福岡のお話|あゆ皮フ科クリニック|高槻市の一般皮膚科・小児皮膚科・皮膚外科・美容皮膚科

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アトピー性皮膚炎の歴史と新薬イブグリースと福岡のお話|あゆ皮フ科クリニック|高槻市の一般皮膚科・小児皮膚科・皮膚外科・美容皮膚科

アトピー性皮膚炎の歴史と新薬イブグリースと福岡のお話

保険皮膚科と美容皮膚科のハイブリット診療を行う大阪高槻のあゆ皮フ科クリニック、院長の菊澤亜夕子です。今日も元気に院長自らパソコンカタカタ更新してます。今日はアトピー治療の変遷となぜか無関係な週末写真をごちゃ混ぜにしてみました←(ウソ混ざってしまってん・・)

先週末は福岡のセミナーに行ってきました♡ついでに博多グルメツアーしてきました。学んで喰う。私には最高です←

博多のセミナーいくよねそりゃ。土曜日の診療終わりにマッハ←で、新幹線に乗りました。到着の夜に、ラーメンと餃子をなんとしてでもハシゴして食べたかったんですが、計画通り無事にハイカロリーコンビ↓摂取できました。やれやれ。

翌朝は、早起きして大浴場に行って、寝坊することなくメインイベントのセミナーへ。皮膚科医500人規模!前の方に座ったらからその盛大さがわかりにくい。

開業すると、診療についてあれこれ言ってくれる上司もいなければ、そんなことも知らんの?と言ってくれる先輩もほぼいなくなります・・寂しい。。故に、積極的に情報収集に学会やセミナーに行っては知識をアップデートさせる感じですね。特に皮膚科の領域においては、アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬については、昨今目まぐるしく新しい薬が登場しています、嬉しいけど、内心焦る←総合病院にいると嫌でもあちこちから情報も入りやすいのですが、開業医って一人ぼっちになりがち。。。。

大砲ラーメン天神今津店。どこも行きたいところはすごい行列だった・・

アトピー性皮膚炎は元々ステロイド外用剤を塗るか塗らぬか、治療はこの二択の時代が長かったのですが、タクロリムス(プロトピック®)というノンステロイドの薬が1999年に発売され、これが画期的だったのですが、その後も順次ステロイド以外の薬が適応されたり、新薬がローンチされたりが続いています。

旧福岡県公会堂貴賓館 クリスマス版

私が医師になりたての頃は、ステロイド外用剤とプロトピック軟膏(タクロリムス)、そしてひどいケースでは免疫抑制剤の内服。通院が可能なら光線療法。主にこれくらいの治療しかなく、2018年にデュピクセント(デュピルマブ)という新薬の注射(IL4/IL13モノクローナル抗体ですが詳細は割愛)が発売された時は、本当に衝撃というか、ものすごい皮膚科業界でもインパクトのある薬の登場となったのは記憶に新しいことです。

絶対外せない好物モツ鍋。希望のところは予約が取れなかったけどなんとか食べれたホッ。

なんせアトピー性皮膚炎に適応のある免疫抑制剤(ネオーラル)は、ヒトに対して全般的に免疫を抑制するため、免疫低下に伴い色々な感染症にかかりやすくなったり、長期使用になればなるほどその合併症のリスクは高まり、稀ではないレベルで合併症が生じるため、定期的な血圧測定に加えて、血液検査も1−2ヶ月に一回は行い厳重な管理が不可欠です。それに対して、新薬のデュピクセント注射(デュピルマブ)は、導入前のスクリーニングと言われる検診も不要、副作用といえば結膜炎が時々あるくらいであまり大きなトラブルなく、全身的な皮膚炎がコントロールできるため、ステロイド外用剤で皮膚が薄くなった患者さんや、痒みが十分にコントロールできない患者さんにとっては本当に夢のような薬となり、処方する私もとてもワクワクして患者さんの診察が楽しみだったのを今も思い出します。

中洲川端櫛田神社

ところが、デュピクセント注射(デュピルマブ)は新薬に例外なく高額。生活保護や母子家庭を含めた公費で賄われる方はともかく、3割負担の方にはコスト面で踏み切るのが難しいケースも少なくありませんでした。また2週ごとの注射なので、そこも大きなハードルとなっていました。

その後もノンステロイドと言われる薬である、JAC阻害剤のコレクチム軟膏(デルゴシチニブ)、PDE4阻害薬のモイゼルト軟膏(ジファミラスト)、直近ではAhR調整薬のブイタマークリーム(タピナロフ)が登場。

一泊目は招待いただいたヒルトン、子連れワチャワチャ。大好きな海が見えていい気分♡隣がペイペイドームで、ちょうどK POPのアイドルたちがたくさん泊まっていて私にはわからんけど明らかアイドルグループが一緒にエレベーターに乗ってきたり、警備がすごかったり異様だった。

内服薬においては2020年頃から景色が変わりました。ちょっとした痒み止めである抗ヒスタミン剤(有名どころだと、アレグラとかね)とは異なる、根本的な治療薬としてのJAC阻害剤である、リンヴォック錠(ウパダシチニブ)、オルミエント錠(バリシチニブ)、サイバインコ錠(アブロシチニブ)なども続々登場。ただJAC阻害剤は導入時のスクリーニングも必要ですし、CTなどの機器がないクリニックではやはり導入のハードルは高め。全て高額。(当院では、3剤のうち効果と副作用的にバランスが良いと私が考えているオルミエントのみ、導入後の維持療法のみ行っています。2024年12月現在)

  

二泊目は子供達に帰っていただき、おひりさま。ニヤリ。SPAのあるHilltop resort fukuokaで至福の1人時間。ひとり贅沢もふるさと納税のおかげでなぜか申し訳なさゼロ←

痒みに対するIL -31をターゲットとしたミチーガ®など説明漏れも少しありますが、おおまかなアトピー性皮膚炎の治療の歴史はこんな具合。説明が長くなりましたが、そんな中、今回はアトピー性皮膚炎の病態形成に中心的な役割を果たすIL-13に結合して、炎症のシグナル伝達を阻害する薬剤であるイブグリース注射(レブリキズマブ)がローンチされました。IL4/IL13ともに作用するデュピクセント注射(デュピルマブ)とやや近い製剤です。半減期という血液中の薬剤の濃度が保たれる時間が長く投与期間が空けられるのもありがたい特徴です。

バイキングでない丁寧な朝ごはんが嬉しい。家では、アレとってお茶ちょーだいと、いつも座ったままご飯が食べられないので、サーブしてもらえる朝ごはんはお味以上にサービスが嬉しくて。子育てあるあるかな。

今回イーライリリーに招待いただきましたが、他にCOIはなく私の期待している薬剤なので紹介していますが、

まとめるとイブグリース注射(レブリキズマブ)の良い点

・安全性が高く、初期のスクリーニング検査も不要
・IL-13のみをターゲットとしているので、全身的な免疫低下は起こりにくく、結膜炎などの副作用もデュピクセント注射(デュピルマブ)より少ない
・はじめは2週ごと2回の注射その後は、1ヶ月ごとの投与が可能
(コントロールの具合が悪ければ2週ごと投与にはなります)
・月1と投与回数が少ないため、新薬なのに薬剤費が安い!!初月は3割負担で6万円ほど、翌月以降は3割負担で1.5万ほど。

1人時間に今年のダウン買いましたーわざわざ遠方で。先日Xで話題になってたダウン。私はこの3年ヘルノ派。値段とクオリティとのバランス良くてデザインも好き。モンクレーはこの20年で驚くほど値上がりしましたね。そして子供のを含めて3着も盗難に遭い、私はモンクレーはもうなさそう・・

あとは肝心な効果ですね。まだ私は使ってませんが、治験および大学病院などの偉い先生たちが使った症例では良さそう。(ただしまだ症例数は少ない)今のところ当院としては、市販後1年となる来年の5-6月あたりで、導入を予定しています。こんだけ説明して今すぐちゃうんか?って感じで、すいません。前倒しの可能性ももちろん検討はします。効果はおそらく間違いなさそうですが、新薬が臨床で実際使われだしてからの副作用などの評価を、改めて周囲医療機関を見回してから当院に導入しようと思います。私は、歴史のないお薬は特に慎重に導入するようにしています・・・・

ということで、アトピー性皮膚炎の新薬の注射を紹介しました。

もう福岡写真ないなったーーー

ただ忘れて欲しくないのは、やっぱりアトピー性皮膚炎の基本治療は外用治療。これはもう何年も何十年も変わりません。お金があるからいきなり新薬とかは違います。まずは安全で歴史のある、標準治療としてのステロイド外用剤。皮膚科の出すステロイドチューブは、内科や小児科、形成外科で出すステロイドチューブとは違います。断言したい←、皮膚科医の意地や笑。しっかりたっぷり適切に使います。だから外来で必ず塗り方の指導をします。

炎症のある皮膚は早期にステロイド外用剤で抑え込みます。どんなにノンステロイドが出ても即効性のある外用剤はステロイド一択です。しっかりとステロイド外用剤で炎症をコントロールできたら、早期にノンステロイドの外用剤を取り入れていく。いかに炎症をコントロールしながらノンステロイドに切り替えるか、これがまた皮膚科医の腕のみせどころ。ダラダラステロイドを使わなくて済むように、時に強いステロイドも使います。光線療法も併用します。

それらの基本治療でやはりどうにもならないケース、ステロイドによる副作用である皮膚萎縮があるのにステロイド外用剤以外ではコントロールがつかないケース、光線療法も歯が立たないケース、長年免疫抑制剤から離脱できないケースなどなど、そのようなごく一握りのケースにおいて、新薬と言われる注射剤や内服薬などを紹介いたします。

そして私は、必要な方にちゃんと情報を提供して、治療選択の幅を狭めることのないように知識のアップデートを行うように努めます。後からこんな薬があったなら使いたかった・・なんてことがアトピー性皮膚炎の患者さんにあってはいけませんからね。

アトピー性皮膚炎でお困りの方、ご相談にいらしてください^^新薬の治療をしてなくても、当院通院中の方より、痒みがあたり前になっていた方も、今年の夏はめちゃくちゃ快適だった、こんなに痒みのないのもう何年振りかも、なんて嬉しいお声もいただいています。そのような嬉しいお声こそ、私が今日も診療がんばろ、皮膚科医なってほんまよかったわ、と思う瞬間ですね。

私は皮膚科学、皮膚科診療が好きです。終わり。