ボトックス修正に対するオビソート注射について〜額が重い | 瞼が開けづらい | ボトックス弱めたい | ボトックス失敗
こんにちは。大阪府高槻市にある皮フ科と美容皮膚科のハイブリット診療を行うあゆ皮フ科クリニック院長の菊澤亜夕子です。おかげさまでもうすぐ開業2年を迎えようとしており、その過程で優秀なスタッフたちに様々なタスクシフトを行なってきましたが、このブログだけはなんとか、シフトせずに、開業前から今日に至るまで、スタッフにもそしてAIにも頼らずに、ギリギリのところで息をたやすことなく←院長自ら運営しています。
ボトックスの効きすぎって?
今日はボトックスの効きすぎで困っている方に向けてのお話になります。ボトックスは、お顔の動きを作る表情筋に対して、筋肉を緩めることで、表情を和らげて、くしゃっとなる感じを抑えたり、穏やかな表情を作ったり、笑顔を上品にしたりする目的で行います。ところが、時にボトックス注射が効きすぎると、特に額のボトックスでは前頭筋という眉を挙げる筋肉を抑えすぎるが故に、目が開きづらく、重たく感じてしまうことがあります。美容治療には欠かせないくらい存在価値の高いボトックスではあるものの、効きすぎてしまった時の副作用でボトックスが怖いという印象を持たれる方も少なくない、というのもの事実です。適切な場所に適切な濃度で、適切な量を打てば、そのようなトラブルが起きる可能性は限りなく少ないとはいえ、ボトックスの効果は非常に個人差が大きく、筋肉の強さや動きの癖も皆異なるゆえ、そのような副作用を絶対に避け切れるとも言えません。
オビソートを使う場面とは?
万が一ボトックスの効果が出過ぎて、表情のこわばりや、しんどさが生じたらどうするか?そもそもボトックスは必ず時間と共に効果が切れます。そして後遺障害は残しません。ですので基本的には違和感も2−4週間をピークに改善しますし、3ヶ月もすれば完全に落ち着きます。よって、何かあっても「効果が減弱するのを待つ」のが基本スタイルです。
とはいえ、日常生活にも支障が出てしまい「待つに待てない・・」、というケースではボトックスの効果を弱らせる注射であるオビソートも一つの選択肢にはなります。
オビソートとはなんぞや?
元々はボトックスの拮抗薬として生まれたものではなく、狭心症の診断に用いられたり、麻酔後の腸管麻痺や消化管機能低下に用いられるものとして上市されました。(皮フ科の私はそれらに使用したことがないので、臨床現場でどれほど使用されているかはごめんなさい、よくわかっておりません。また添付文書には円形脱毛症の治療にも適応があると明記されておりますが、ガイドライン上においても特に円形脱毛症には推奨もされておらず、実際に皮膚科診療で用いることはあまりありません。)つまり、ボトックストラブルのために存在する薬でなく、適応外使用とはなりますが、その作用機序からボトックスの効果に拮抗する薬剤として、応用的に使われているのが現状です。
オビソートの効果発現の原理(ややこしいので読み飛ばしてOK)
人体には、神経と筋肉をつなぐ、神経筋接合部という場所があり、神経からアセチルコリンという物質が放出され、その伝達を受けた筋肉が、動くことで顔の動きや、体の動きが生じます。ボトックスは、そのアセチルコリン小包というのがこの神経筋接合部にあるSNAP受容体に引っ付くのを抑えて、アセチルコリンの放出を抑える効果があります。それによって神経から、筋肉収縮してよーという指令は遮断され筋肉が収縮できなくなり、筋肉の動きが抑えられます。一方でオビソートとはアセチルコリン塩化物であり、アセチルコリンそのものを注射で入れ込むことにより、筋肉のアセチルコリン受容体にアセチルコリンがついて、筋収縮のシグナルが生じることになり、再び筋肉が動くようになります。
注意:オビソートの効果持続期間は短い・・
ただ残念ながら、オビソートの半減期は短く、効果持続期間はかなり限定的です。ボトックス自体の効果が減弱するまで数日ごとに注射して、筋肉を動きを回復させます。
オビソートの注射を受けられない方
・気管支喘息
・甲状腺機能亢進症
・重篤な心疾患
・消化性潰瘍
・アジソン病
・消化器または膀胱狭窄
・てんかん
・パーキンソン病
・妊娠授乳中(そもそもボトックス自体が禁忌)
ボトックスのトラブルは全てオビソート頼みか?
ボトックスのトラブルは全てオビソートで対応するかというと、いいえ、違います。口周りの左右差などについては、ボトックスを追加することで修正することもあります。また眉の外側が上がりやすくなるスポック現象でも、ボトックスを少量適切な追加することで、整えることも可能です。ボトックスのトラブル=オビソートではなく、ボトックスを追加して調整すべきか、オビソートで弱めるべきか、何もせず待つべきか、この辺りの判断はしっかりさせていただきます。オピソードも一つの選択肢ではありますが、実際に使うケースは多くはないように思います。
↑の写真は、美容皮膚科駆け出しの2020年頃の私。ボトックスをあれこれ自分に試しては色々検証してました。この写真は、わざと口角ボトックスを深く打ち、口角下制筋ではなく、下唇下制筋という筋肉に打ってみましたところ、見事な左右差を作り出せました。口角をさげようとしてるのですが、向かって右のみ下がらない状態。このような左右差は向かって左側の下唇下制筋にボトックスを追加することで解消させ、両側とも口角が下がらないように調整します。両側の下唇下制筋を完全に止めて、口角が下がらないようにすると、顎の裏に食事の食べかすが溜まるなど口の違和感も多少起こりますが、見た目には整います。
余談ですが、この薄い唇が嫌で、先週セルフで唇にヒアルロン酸を打ちました。あんまりパーンとはしたくないし、形もそんなに出さない、ややふっくらと潤いプラスのイメージで、ボライトという肌育製剤を応用してみましたが、とってもいい感じです。
ついでに、高周波たるみ治療器デンシティも600ショット打ってもらいました。(デンシティはキュッと立体的な小顔効果が得られるマシンです。口横のぽよっとしたたるみにも最適。)こうして昔の自分の写真を見ていると、フェイスラインも5年前より少しマシになってるし、少なくともたるみが目立ってひどくはなってないなとちょっと安心してみたり。美容医療の力はすごいですね。誰も見てもないし、気づいてないと思いますが、少し加齢のブレーキをかけている感じの小さな変化が自分では嬉しい。
ボトックス後にお困りの方の相談お受けしています
話は完全にそれていつの間にか自分の顔にフォーカスしてしまいましたが、ボトックス後のトラブルとして
・無表情になってしまった
・目が開きづらくなってしまった
・人相が悪くなってしまった
・笑い方が不自然になってしまった
・左右差が出てしまった
など色々あると思いますが、ボトックス注射後でお困りの方、施術を受けたクリニックには相談しにくい方、いつでもご相談にいらしてください。お役に立てることがあれば嬉しいです♡