婦人科形成のお話その14 婦人科形成の専門科とは?〜美容外科(直美)VS産婦人科・形成外科・皮膚科などの保険診療医〜名医は誰?
- 2025年6月9日
- 婦人科形成(女性器形成)
大阪府高槻市にある皮膚科専門医であり、婦人科形成を専門的に行なっているあゆ皮フ科クリニックの院長菊澤亜夕子です。
婦人科形成のお話も、コツコツ書いていましたらいつの間にやら第14話となりました。「お悩みの方、手術を検討されている方は、ぜひ遡って1話から読んでくださいね。」なんて軽々しく言いづらいくらいのボリュームになってきました。が、いづれの記事も極力内容が丸かぶりしないように書いているつもりですので、ごちゃごちゃしたタイトルなためピックアップもしにくいですがは、嗅覚を研ぎ澄ませつつ、かいつまんで記事を見てくださると嬉しいです。
画像はインスタから引用。今日はこだわりの話しません。
婦人科形成を扱う専門家って一体誰?何科の先生が得意なの?という話について2回に分けて説明してみようと思います。
婦人科形成って、見た目に困ってるだけではなく、擦れて炎症を起こして皮膚炎になって痒みやガサつきが出たり、生活上挟まって不快感や痛みを生じることもあります。ただ現状は痒いなどの二次的な症状を抑えるための塗り薬は保険適応であるものの、根本的にひだが大きすぎるなどの形状は、瞼が一重か二重かの違いようのに、病気としての認定をされておらず、根本治療の手術は保険適応外。ですので、領域的には美容外科が扱う範疇となります。
だから美容外科医(今回は便宜上、直美の美容外科医とします)が得意なのか?いや、産婦人科医、形成外科医、皮フ科医を一括りにした保険診療出身医師たちが得意なのか?後者の保険出身なら何科が得意なのか?ですよね。
婦人科形成の名医!なんて名を打ってる先生もいるかもしれませんので、その先生の出身科を調べてもらってもいいと思うのですが、バラバラだと思います。
早く答え言ってよ、周りくどいな・・と思われてるかもしれないけど、そう、『その答えはない』というのが答えでして。出身科だけでは、決めることができません。えーーもう読むのやめるわ?ってなっちゃいました?そんなこと言わずにちょっとばかし奥深いので、サラリと目を通してくださいませ。
術前にその日の手術内容、受診のきっかけなどお話動画撮らせていただいてます。手術が安くなるなどではない中、完全に皆様のご厚意です。ありがとうございます。よかったらインスタグラムに動画がありますのでご覧くださいませ。
美容外科医(直美)と保険診療医の違い
まずは大きく二つに分けます。①美容外科医と②色々な科目を含めた保険診療医ですね。
今話題の「直美」とは、大学病院や総合病院などで病気としての診療を行わず、病気の専門領域を持たずに、いきなり病気のない美容の世界で働きだす先生のことです。(それが今の日本の医療に良いとか悪いとかは今は触れません。)こうした美容のみをこなしてきた美容外科医が婦人科形成の名医でしょうか?
婦人科形成に限らず、鼻を高くする隆鼻手術や、目を二重にする眼瞼手術、骨を切って輪郭を整える骨切り手術など全ての美容外科領域の手術において、直美か保険診療経験の医師、どちらが上手いかという議論につながります。では、ちょっと自由に、私見を述べてみます。
直美の特徴
美容医療だけで長年医師として生きてこれたくらい美的センスがあって、接客も得意で、セルフブランディグも上手なのが美容外科医(直美)。つまりそのような能力があると集客がある程度できると思われ、そういう意味では、症例数がある程度確保でき、経験を積んでいる可能性が上がりますね。これは私が直美の先生をたくさんみて思ったのですが、直美の先生はそもそも病気やトラブル、たとえば皮膚壊死と言って傷が開いて皮膚がえぐれる(潰瘍化)や、致命的な感染症やまれな感染症などの病気をみたりする頻度は、かなり少ない。
ゆえに、ちょっと怖いもの知らずな分、そういう悪い状況を想定してしまうことが、保険診療医より少ない分、エイヤーと攻めの手術や施術ができます。一見怖くも見えますが、そういうトラブルってそもそも稀ですし、それを考えずに毎回思い切った手術をするので、いい意味で言うと技術の伸び代も大きい。つまり成長しやすい。
大手美容外科の雇われ医師とオーナー医師の違いは?
オーナー医師の場合は、ある程度自分の手術でクリニックを運営してこれるくらいの技術もあると言えるか?経営がうまかっただけというケースもあるのでオーナー医師=名医とも言い切れないところもまた難しい。雇われで、経営のことは全く関与せず、医師としての技術だけを向上させてきて手術が上手な先生も多いですしね。オーナーか雇われかこれもまた判断基準としては役に立ちません。
保険診療医の特徴
一方で病気の分野で経験をつんできた保険診療医は、病気というトラブル、感染や創し開、機能障害などのトラブルシューティングが上手で、病気やトラブルをたくさん見てきた分、何かしら美容の手術や施術をする際には、すぐに悪い状況を想定するため、保守的です。この手術をすることによって、皮膚が凹まないかな、傷が開かないかな、バイキンがつかないかな、切りすぎて形状が変化しすぎないかな、などと常にリスクを頭の片隅か真ん中に置いて手を動かしてます。いい意味では安全第一でトラブルも少ない傾向ですが、思い切った手術ができない分、石橋叩きながら慎重に手術を繰り返しながら少しずつ能力を伸ばしていく傾向にあるように思います。
たとえば婦人科形成で言うと、保険診療医は小陰唇を大胆に切ることはほとんどないと思います。万一切りすぎて、膣の渇きやひりつきなどのトラブルが出るくらいなら、一回目は控えめに切って、足りなければ、二期的に追加で切除したらいいと考えます。他方、一発でしっかり切って追加手術なんかしなくていいように確実にシュート決めるぜ、みたいなのが直美。
眉下切開という瞼のたるみとりの手術においても、しばしばその傾向を感じた記憶があります。しっかり一度で改善か、リスクを加味してちょっと控えめに行うか。
またスレッドリフトというリフトアップ目的の糸施術などでもそのような違いを感じたものです。直美の先生は自分が初めてする場合でも、いきなりたっぷりの糸16本で患者さんにおすすめして、それを手早くこなします。保険診療がベースにある私なんかは、当初まだ経験が少ない頃は施術が怖くて、まずは効果があるかないかより、安全にトラブルのないことが最優先だから、4本でやって、自分が上手くなったら6本にして、いつかは12本で提案しよう、とそんな具合でした。どんな美容施術も私はちょっとずつ、トラブルのないように、無理せず、自分の能力を見極めながら恐々と行ってきたように思います。今でこそヒアルロン酸も手が震えることはありませんし、1回に5ccも7ccも入れたりしますが、当時は合併症のリスクが頭から離れることがないので、手元はプルプルしてましたし、ほんの0.2ccだけ入れたりと、それ意味ある?くらいのちょっとずつから行ってきました。私が保険診療出身の代表ともいえませんが、あちこちの美容クリニックで働く中で、やはり保険診療医の方が怖がりでもあり、よくいえば慎重派のようには感じる局面が多々ありました。
話がそれましたが、そうして短期間で勢いよく成長するのは直美さんですし、その分センスがある人はとても上手くなりやすいと思います。が、やはりトラブルを想定する能力や、それらが生じた時の対応はやはり保険診療医に軍杯が上がると思います。
最終的に、攻めの直美と、ビビリの保険診療医みたいに書いてしまいましたが、自分が保険診療を長年やってきた人間であるというポジショントークもあるし、もちろん医師による個人差や性格は大きく関与するため、あくまで私が思う傾向です。それぞれに良さもあり、一方で残念さもありますので、どちらがどうとかいえないなと感じます。個人的には、美容で成功されている先生で、直美でめちゃくちゃ尊敬している先生もいれば、同時に保険診療医でめちゃくちゃ尊敬している先生もいます。
では、どういうポイントで「手術が上手な医師を見分けるか」みたいな話を次の記事で続けます。