婦人科形成のお話その15 婦人科形成の専門科とは?〜産婦人科・形成外科・皮膚科医?〜口コミのお礼
- 2025年6月11日
- 婦人科形成(女性器形成)
大阪府高槻市にある皮膚科専門医であり、婦人科形成を専門的に行なっているあゆ皮フ科クリニックの院長菊澤亜夕子です。
今回は婦人科形成のお話その14に続く形でお話しますので、ぜひ前記事も参考にして下さいね。今回は、婦人科形成を行う保険診療で経験を積んだ実績のある医師の中で、どこの科出身の先生が、婦人科形成が上手いか、名医となり得るか、とういう点について、また自由すぎる私見を述べてみます。
小陰唇が大きい肥大してると言うのは現状病気ではなく、個性の範疇としてみなされており、故に婦人科形成の手術は保険適応外。つまり総合病院では行っていない内容なので、どの保険診療医も総合病院で学ぶ機会なく、病院から出て、美容の世界で学ぶ分野なのです。元精神科、元消化器外科とか、全然関係なさそうな分野はさておき、産婦人科?形成外科?皮フ科?誰が上手なの?に答えるにあたりそれぞれの特徴から。
産婦人科医の特徴
まずは産婦人科。ちょーどこのブログを書くきっかけとなったのですが、先日こんな相談がありました。
彼女は、20年弱、産婦人科が売りでもある総合病院の産婦人科で、普通分娩のみならず病気を持った赤ちゃんやなんらかな医療介入が必要なお母さんからのハイリスク分娩を日々扱い、子宮がんなどの病気の手術、もう全ての難しい産婦人科の病気を扱うような第一戦で働く女医さんです。女性の外性器を見ない日はなかったと思いますが、意外と美容的な審美的な目線で、その形状は見ていないようで、婦人科形成については完全に専門外という感じです。トラブルのないサイズ感やよくあるサイズ感というのがわからないとのことでした。そもそもヒダである大陰唇や小陰唇の病気やトラブルである、痒み、痛み、できものなど粘膜の中ではない部分は皮フ科が主に扱うのです。産婦人科は女性器の中の方というイメージですね。当院では外陰部の毛嚢炎(せつ)や粉瘤といったできもの、皮膚トラブルもたくさん診療させていただいてます。というか産婦人科から紹介されてきます。
なので、産婦人科医だからといって、別に婦人科形成が得意ではない。これは間違いないの事実です。意外と知られていませんが、婦人科という名前が一致しているだけです。とはいえ、産婦人科の先生が総合病院を出てから、美容クリニックで婦人科形成を学んで、少しずつ経験を積んで上手くなっている先生はたくさんいると思いますので、産婦人科だからダメというわけでももちろんありません。
形成外科医の特徴
次に、形成外科。形成外科は主に見た目の問題、機能的な問題に対して人間の体どこでも場所を問わず、外科的にアプローチするのが得意な先生です。他の科で行った手術の合併症や、がんを取り除いた後の再建(組織や機能を修復する)などに対しても専門的に治療した経験がたくさんあるので、メスの使い方、繊細な縫合、機能面への配慮、全てにおいて手術のプロフェッショナル。きっと婦人科形成特有のデザインなどのセンスが身につけばやっぱり手術はお上手だと思います。ただ総合病院ではやはり婦人科形成を学んだことはないはずで、やはりその後に美容クリニックなどで初めてこの手術の経験を積んでいるはず。
皮膚科医の特徴
そして皮フ科。ようやく私の番ですね←。婦人科形成の名前に皮膚は入ってない。そう、婦人科でも形成でもない、皮フ科は残念ながらネーミング的にはとっても遠そう。でも皮フ科は膣の中は、全然専門外ですが、女性も男性も外性器の問題は、皮膚科領域。器械や画像を使わなくても目に見える体表部分である皮膚は全て皮膚科の専門です。総合病院でもヒダである大陰唇、小陰唇などに対する治療はこれまでも色々してきました。たとえば大陰唇にできるできもの、良性であれガンであれ、皮膚科医として手術も担当してきました。つまり場所的には皮膚科医が慣れた部位です。とはいえ、産婦人科医や形成外科医と同様、総合病院で、婦人科形成の手術は経験していない。というのと、皮膚の病気って種類がものすごく多く、内科的にアプローチする病態と、外科的にアプローチが必要な疾患があるため、手術系は手をだしませんという皮膚科医と、手術が大好きな皮膚科医がいるのも事実。
ということで、誰しも保険出身の先生は、保険診療をしていた病院では婦人科形成の経験を積めておらず、産婦人科疾患を扱う産婦人科医、傷を扱う形成外科医?皮膚領域全般扱う皮膚科医、いづれも出身科目はあまり関係ないというのが結論です。手術件数も、また医師個人の能力差も考慮せず、無理やり3科目の中で、一番科目が近いのは、強いて言えば形成外科かな・・。と言う気はしますが、やはり科目では選んでほしくない、と言う、どっちやねんな、結論です。つまんなくてすいません。。
上手いかどうかの決め手は、専門は科目では選べない。では何が決め手?
結局は、上手いかどうかの決め手となるわかりやすい要素は①実際の手術件数と、②一つ一つの手術にどこまで向き合って、どこまで工夫を重ねているか、ということでしょう。と、2025年6月現在の私は考えています。
手術件数は私もそうですが、しっかり数えてきた先生でないと執刀件数を把握してませんし、執刀件数1000件なんていうのもいくらでも嘘をつけてしまうので、自分で言っているだけでは信憑性はありません。つまり実際の確かな手術件数を患者さんが知る由はありませんが、件数と技術とある程度相関はすると思います。
どこまで一つの一つの手術を大切にしているかなんて、これもまた他人が知ることはできませんが、手術後の検診をしているかどうか、これはちょっとその要素を知る理由にはなるでしょう。あとで詳しく伝えます。
婦人科形成は手術件数の少ない手術、どこから学ぶか
皮フ科領域のたとえば粉瘤をとる、ほくろをとる、皮膚がんを拡大切除する、これらについては清書が何冊もありますし、学会での発表も多いです。それに比べて婦人科形成というのはそもそも粉瘤の手術の1万分の1とか、数えてないので知りませんが、ものすごく頻度の低い手術です。
基本的に人生で一度の手術(少なくとも私はその意気込みでしてます)、しかも対象者は女性だけ、年齢は10代から60代くらい、そんな手術があると知り得た情報通の人、悩んでる人、と言うかなり限られた対象者。それに比べてほくろや粉瘤、男女問わず、何歳でも、1人で複数箇所、そして加齢で増えてきてたらまた行う、とめちゃくちゃ件数は多いです。つまり婦人科形成はよくある手術とは全く異なります。手術件数が増えている分野といえど、二重埋没なんかと比べてもやはり、かなり件数の少ない手術です。
そのような背景もあり、専門書も少ないし、美容という特性も含めて症例報告も少ない。ある程度先輩から手技を学んだあとは、自分で患者さんの手術を通して、学び続けるしかありません。今の技術で得られる結果より絶対に悪くならない範囲で、ちょっとこうしてみたらもっと綺麗になるかな、出血をより減らすために、麻酔の注射針をこれに変更してみたらどうかな、この層に注射してみたらどうかな、切り込む時の角度をこうしたら厚みの調整はどうかな、ボンド使ったら皮膚のつき方はどうかな、縫合の糸のテンションの掛け方を緩くしてみたらどうなるかな、なんて細かいことを毎回ちょっとずつ挑戦してみてます。今までの手技に対して結果が損なわれることは許されないので、悪くならない程度、ちょっとだけの改良の範囲です。そして、1ヶ月後の検診で、痛みはどうでしたか?出血はどうでしたか?と聞いて学んで、傷の具合はどうかな、ヒダの形状はどうかなと、見て学んで、自分の行った小さな工夫に対する結果を検診時に答え合わせしています。
検診の意味
1ヶ月後の検診は、トラブルがないか確認すること、そして患者さんにもう何しても大丈夫よと安心してもらい、私も問題ないことで安心するためではありますが、それとは別に、原因(小さな新しいチャレンジや工夫)とその結果を私の中で結びつけるような意味でも検診させてもらってます。今まで検診で大きなトラブルが見つかったことはなく、半分私の都合で健診に来院いただいていますので、検診にわざわざ来てもらうことは申し訳ないですが、学びを頂けてとてもありがたく思ってます。こうして患者さんにご協力いただきたながら、小さな技術向上を積み重ねて今に至っているように思います。
なんかすごく偉そうに当たり前のことを書いてしまいましたが、わざわざブログなんかを書いていない大きな病院でガンの手術をしている外科の先生も、審美的にこだわった顔を作る美容外科の先生も、機能回復のために細かなアプローチする形成外科の先生も、ドクターは皆、どんな分野の先生もそうだと思います。ただただ目の前の手術をこなしているだけか、こういう小さな積み重ねをするかで10年後の腕は全然違うはずです、。
当院では、片道2時間を要するほどの遠方の方には、半分私の勉強という点もありますので、検診は任意としていますが、基本的には1ヶ月後検診をお願いしております。クリニックによっては、検診を全くしていないところも聞きます。他院術後のトラブルなどで当院に来られた方で、検診を指示されていなかったと実際伺うことがあるのです。
と言うわけで、検診を行っているかどうかはその医師の診療スタンスの一つとして参考にしてもいいのかなと思います。絶対に失敗はしないし、患者さんの時間をいただくのは申し訳ないから検診は省略しているなどの意見もあるだろうし、それぞれにやってることの理由はあると思いますので、検診の有無だけで決めることができない面もあるとは思いますが、医師の成長のチャンスである検診の意味についてお伝えしてみました。
結局、専門診療科もなく、出身科目も大して参考にならず、手術件数もほんまか嘘かわからず、医療に取り組む個人の診療スタンスなんて知る由もなく、再診の指示があるかどうかだけで決めれるはずもなく、「どうやって名医を見つけるかはとても難しい」という、取り止めのなさすぎる結論となりました。せっかくここまで読んでくださった方に、心より謝罪いたします←
口コミのお礼
ちょうどつい最近婦人科形成を受けてくださった当院の患者さんが、大変丁寧なレビューを記載くださったので、お礼を兼ねて、掲載させていただきます。このような生の声も参考になるといいですね。世の中にはさくらのレビューも多いので、口コミだけでの判断も難しいと思いますが、こういうお声が私の日々の診療の励みであり、医師冥利に尽きるなと、大変パワーをいただきましたので、ご報告いたします。MUさんありがとうございます。どうか手術したことをすっかり忘れるくらい快適な生活になられますように♡
上記は、Googleのクリニック口コミです。当院のレビューには残念な低評価もいくらかあり、私もそっと目を閉じたくなったりもしますが←、日々猛省しながら、頑張って診療しておりますので、ご興味のある方はぜひご一読ください。